【Englishman in New York(イングリッシュマン・イン・ニューヨーク)】の和訳:Sting(スティング)

今回は、Sting(スティング)「Englishman in New York(イングリッシュマン・イン・ニューヨーク)」の翻訳をしたいと思います。

「Englishman in New York」は、スティングの2枚目のアルバム「…Nothing Like the Sun(1987)」から1988年にシングルカットされた曲です。英国チャートでは51位、米国ビルボードでは84位を記録しています。アルバム発売後からのシングルカットですので、そこまで売上を伸ばせませんでしたが、アルバム自体はUKチャートで1位、米国ビルボードでも9位を獲得しています。

タイトルの「ニューヨークに住む英国人」とは誰のこと?

Quentin Crisp(クエンティン・クリスプ)

タイトルにもなっている「ニューヨークに住む英国人」とは、英国の作家であるQuentin Crisp(クエンティン・クリスプ)のことです。代表作は1968年に発表した「The Naked Civil Servant(裸の公僕)」、後に1975年にフィルム化。

また、クリスプはゲイを早い段階で公表した人物としても有名です。1981年からニューヨークの移り住んでおり、1986年にスティングは彼の小さなアパートを訪れています。その時のクリスプとの会話から、この「Englishman in New York」を書くことを決めました。

PVに出ている初老の男性は、クエンティン・クリスプ本人です。
それでは、まずは聞いてみてください。

Englishman in New Yorkの基本情報

曲名:Englishman in New York(イングリッシュマン・イン・ニューヨーク)
アーティスト名:Sting(スティング)
発売日:1988年02月
収録アルバム:…Nothing Like the Sun(1987)

「Englishman in New York:Sting」の動画


youtubeより

ここから「Sting:Englishman in New York」の翻訳開始!

↓↓↓↓↓ ここから歌詞の翻訳です ↓↓↓↓↓

I don’t drink coffee, I take tea my dear
(コーヒーは飲まない、紅茶がほしいんだ)

I like my toast done on one side
(パンは片面焼きを好む)

And you can hear it in my accent when I talk
(話している時の私の(ブリティッシュ)訛りでわかるだろ)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

See me walking down Fifth Avenue
(見てごらん、(ニューヨーク)五番街を歩く私を)

A walking cane here at my side
(杖を持っているだろう)

I take it everywhere I walk
(私はどこに行くのも持ち歩くんだ)

I’m an Englishman in New York
(そう、私はニューヨークに住む英国人なんだ)

I’m an alien I’m a legal alien ※01
(私は外国から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

I’m an alien I’m a legal alien
(私は外国から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

If, “Manners maketh man” as someone said ※02
(もし、誰かが言ったように「礼節が人を作る」というのなら)

Then he’s the hero of the day
(彼は今日の英雄である)

It takes a man to suffer ignorance and smile ※03
(英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい)

Be yourself no matter what they say
(誰が何を言われようが、自分らしくいることだ)

I’m an alien I’m a legal alien
(私は外から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

I’m an alien I’m a legal alien
(私は外から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

Modesty, propriety can lead to notoriety ※04
(謙虚さや礼儀正しさはある意味で悪評を招く)

You could end up as the only one
(でも、きっと最後には唯一無二の存在になっている)

Gentleness, sobriety are rare in this society
(親切や節度を守ることは、現在の社会で見かけるのは稀である)

At night a candle’s brighter than the sun ※05
(夜になれば、ロウソクは太陽よりも輝くのだ)

Takes more than combat gear to make a man ※06
(紳士になるには、戦闘服だけでは事足りない)

Takes more than a license for a gun
(銃のライセンスよりも大事なものがある)

Confront your enemies, avoid them when you can ※07
(君の敵が前に立ちはだかるのなら、出来る限り避けなさい)

A gentleman will walk but never run
(紳士とは歩くものであって、走ることは決してしないのだ)

If, “Manners maketh man” as someone said
(もし、誰かが言ったように「礼節が人を作る」というのなら)

Then he’s the hero of the day
(彼は今日の英雄である)

It takes a man to suffer ignorance and smile
(英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい)

Be yourself no matter what they say
(誰が何を言おうが、自分らしく生きるんだ)

I’m an alien I’m a legal alien
(私は外から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

I’m an alien I’m a legal alien
(私は外から来た者、合法的な外国人である)

I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

曲の感想とまとめ

Quentin Crisp and Sting

いかがでしたでしょうか?英国人であるクリスプは、たとえニューヨークに住んでいようとアメリカナイズされることなく英国人あることを捨てません。勘違いしてほしくないのは、この曲が「英国人であることの誇り」をただ言いたいだけではありません。

この曲で一番大事なのは、ここの箇所です。

It takes a man to suffer ignorance and smile
(紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい)
Be yourself no matter what they say
(誰が何を言われようが、自分らしくいることだ)

ゲイであることを誇りに思い、決してその事を曲げずに生きてきたクリスプの言葉です。彼の笑顔はやっぱり素敵で、魅力が溢れています。

曲の背景と感想

「Englishman in New York」の主人公Quentin Crisp(クエンティン・クリスプ)は、1908年ロンドン生まれの英国の作家、俳優です。若い時から自身がどこか人と違うことに気づいており、20代になるとメイクや女装をするなど周囲から白い目で見られていました。

イギリスでは、1967年までゲイは法律として禁止されていました。スティングはクリスプのアパートを訪れた際に1920年から60年代のイギリスの同性愛者の生活の様子を聞き、ショックを受けると同時にその話に魅了されました。

Quentin Crisp(クエンティン・クリスプ)

歌詞の中で、「alien(外国人)」「a legal alien(合法的な外国人)」と出てくるように、イギリスとアメリカ、ゲイと一般人を比較しているように見てとれます。また、「A gentleman will walk but never run(紳士とは歩くものであって、走ることは決してしないのだ)」の箇所から、武器を持つ事だけが抵抗するための手段ではなく、敵の目の前だからこそ優雅に堂々と歩きなさいという意味に捉えることができます。ここで言う敵とは、自分を誹謗中傷、揶揄する人たちのことです。

ゲイとして堂々と生き、また英国人としてニューヨークで堂々と生きる姿にスティングは感銘を受けこの曲をクリスプに捧げました。残念ながらクリスプは1999年11月21日に他界しましたが、彼の活動は多くの同性愛者に勇気を与えるものでした。

最後に文法・歌詞の説明

それでは最後に文法、歌詞の部分で説明が必要かなと思う部分を少し追記して終わりたいと思います。

01. I’m an alien I’m a legal alien
日本だと「alien(エイリアン)」と聞くと「地球外生命体」を思い浮かべますが、海外のとりわけ移民に関わる文章上では「外国人」として使われるのをよく目にします。例えば、「an alien registration card(外国人登録証明書)」や、「illegal aliens(不法在留外国人)」など。実際にスティングがクリスプに会った時に、クリスプは「アメリカの帰化文書」が届くのを待ち望んでいました。その時のことからインスピレーションを受けているのかもしれません。

02. If, “Manners maketh man” as someone said
「Manners maketh man」とは、「礼節が人を作る」という、ウィカムのウィリアムの有名な言葉です。14世紀の中世イングランドで活躍した神学者、政治家で、オックスフォード大学・ニュー・カレッジの開設、ウィンチェスター・カレッジの開校するなど教育者としての顔も持っていました。「make」の後に「th」が付いて、「maketh」となっているのは古英語を使用しているからです。現在でも彼が作った2つの学校のモットーとして使用されています。

03. It takes a man to suffer ignorance and smile
「it takes A to do」で、「doをするのにAが必要である」となります。ここでの「a man」とは「男、一人前の男」を指しますが、その前に英国の有名な言葉やマナーについて触れているので「英国紳士なら」と訳すのが良いかと思います。「to suffer ignorance(相手の無知(無礼)に耐えて)」、「smile(笑顔をつくる)」のは、英国紳士のあるべき姿であるとなります。

04. Modesty, propriety can lead to notoriety
「notoriety」は、「悪評、悪名」という意味です。「Modesty(謙虚、謙遜)」、「propriety(礼儀)」というものは、アメリカでは美徳とされない時もあります。

05. At night a candle’s brighter than the sun
「夜になれば、ロウソクは太陽よりもまぶしい」という訳ですが、少し意味が伝わりづらいかと思いますので、僕なりの解釈で説明します。昼にロウソクをつけても誰も気づきません。それは、周りも同様に明るいからです。そして、夜になれば小さなロウソクでさえ明るく燃え上がり、周囲の注目を集めることができます。「自身を貫くことでいつか世界(昼から夜へ)は変わる」という意味と、「世界には昼と夜があり、どちらかの世界ではきっと自分を理解してくれる人がいる」の2つの意味があるかと思います。

06. Takes more than combat gear to make a man
「紳士になるには、戦闘服だけでは事足りない」という訳ですが、米国と英国を比較しています。米国が軍隊に行くことだったり、銃の扱い方を学んで一人前の男として認められるとするならば、英国では「礼儀や作法」も男として身につけなければいけないことであるという意味だと思います。

07. Confront your enemies, avoid them when you can
「君の敵が前に立ちはだかるのなら、出来る限り避けなさい」という訳ですが、勘違いしてほしくないのは「逃げる」ということではありません。力を見せつけることだけが物事の解決方法ではないという意味です。力が必要ではない時は、できるだけ避け、堂々と歩いて立ち去りなさいと言っています。

さて、今回は以上になります。
少し説明が長くなってしまいましたが、最後まで見て頂いて本当にありがとうございました。
それでは、良い一日を!

※何か間違っている箇所、不明な点があればコメント、またはお問い合わせください。
出来るだけ、正確に翻訳をしたいと思っております。

この記事を書いた人
ヨロイ

オンガクガトマラナイを運営しているヨロイです。普段はウェブディレクターをしています。洋楽をきちんと翻訳したくてこのサイトを始めました。洋楽って本当に良いですよね!

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6 つのコメント “【Englishman in New York(イングリッシュマン・イン・ニューヨーク)】の和訳:Sting(スティング)

  1. ありがとう
    好きな曲だったのでしたが、意味がわからなかったので調べていました。
    本当にいい曲だとわかりました。
    単にアメリカに住んでいるイギリス人。異邦人のたたずまいを描いた曲だと思っていましたが、それは異質とか、異質文化とか、ちょっと周りからずれているとかそういう趣を描いただけの曲ではなかったんですね。
    もっと人としての本質、あるべき姿、心意気を描いた曲だったのだとわかると、ますますこの曲が好きになります。スティングはこういう曲を歌ってくれるので好きです。
    イギリス人の有り様は、日本人の有り様にちょっと似ているなと思うときがあります。
    大国の力で押してくる文化に対し、小国、島国、物量では決して勝てない国が世界に向かっていくとき、最後は人としてのあり方、心意気なのだという先人の考えを感じます。

    1. コメントありがとうございます。

      どこにいても自分であり続けるというとても素晴らしいメッセージが入った曲だと思ってます。私の記事が少しでもお役に立てなら嬉しく思います。

      ご覧頂きまして、ありがとうございます。

  2. 誤字かも知れないので報告です。
    正 無知に耐え
    誤 無知に絶え
    指摘が間違いだったらお許しください。

    1. すぴっつさん、ご指摘本当にありがとうございます。

      誤字がないように注意はしてるものの、大変申し訳ないです。修正させていただきました。今後もオンガクガトマラナイをよろしくお願いいたします。

  3. 良い訳ですね。響いてきます。
    端的なのが良いし、背景を考慮してるのも良いです。
    特に「It takes a man to suffer ignorance and smile」が良かったです。
    ありがとうございます。

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